噺家名鑑その3「古今亭志ん輔」

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古今亭志ん輔(ここんてい しんすけ)

1953年9月25日生れ 東京都北区出身 本名は大塚英夫(おおつか ひでお)
1972年3月 故古今亭志ん朝に入門 前座名「朝助」
1977年3月 二ツ目昇進 志ん朝の前座名「朝太」を襲名
1985年9月 真打昇進 「志ん輔」を襲名
2013年現在、落語協会理事

現在の落語界を引っ張る噺家は、5代目柳家小さん門下と、古今亭志ん朝門下に二分できると言っていい。この2人の影響力はいまだに衰えるどころか増すばかりだ。「さん喬」「権太楼」が柳家小さん門下のトップランナーであるとしたら、古今亭志ん朝門下のトップランナーは間違いなくこの「志ん輔」をおいて他にいない。

志ん朝の纏っていた江戸の粋を感じる風情や、洒脱な佇まいをも受け継いだ「志ん輔」の高座からは、確かな江戸の香りがする。師が口を開けば、いや、高座に登場するだけでその場は現代から一気にさかのぼり、行ったことはないが懐かしさを感じる江戸へと誘われる。その江戸は、一足飛びの突飛な場所ではなく、確実に今に、現代に通ずる地続きの場所だ。

流れるような口調はよどみなく、跳ねるようなリズムと共にストーリーが紡がれていく様は、まさに音楽そのものともいえる。それは、「志ん輔」がクラシック音楽に精通しているということもあるだろうが、それだけではなく音楽のように響かせる落語こそ、志ん朝直系のスタイルと言っても良いだろう。躍動感あふれる落語は、志ん輔師の特徴の一つであり、最大の魅力でもある。

また、取り立てて不自然に聴こえないにせよ、よく聞くとところどころに混ざる完全なる江戸前の口調や言葉。それらを何の違和感もなく今の時代に響かせられるのは、芸の確かさと同じくらい、自身の佇まいが江戸前の「粋」に満ちているからだろう。

現在は、圓朝作の大作に長期間かけて挑むなど、大ネタを手掛けることの多いイメージだが、このシリーズでは様々なネタを味わってほしい。本寸法の良さを最も感じさせるのは、「志ん輔」をおいて他にはいないかもしれない。


古今亭志ん輔 其の壱
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古今亭志ん輔 其の弐
本格 本寸法 ビクター落語会 古今亭志ん輔 其の弐 お見立て/船徳 ビクターエンタテインメント 2013.8.28 DVD VIBF-5481 2,667円+税
古今亭志ん輔 其の参
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古今亭志ん輔 其の四
本格 本寸法 ビクター落語会 古今亭志ん輔 其の四 幾代餅/紙屑屋 ビクターエンタテインメント 2013.10.28 DVD VIBF-5500 2,667円+税