噺家名鑑その12「桃月庵白酒」

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桃月庵白酒(とうげつあん はくしゅ)

1968年 12月26日生れ 鹿児島県鹿児島市出身 本名は愛甲尚人(あいこう なおと)
1992年4月 五街道雲助に入門 前座名「はたご」
1995年6月 二ツ目昇進 「喜助」と改名
2005年9月 真打昇進 三代目「桃月庵白酒」を襲名

色白で、やや小太り。愛嬌あるルックスで、高座ではいつも大汗をかき、手拭いで必死にぬぐっている。
そして、心地よい美声にして、やや早口。口調は、古式ゆかしい古典落語口調。ただ、その声で発せられるのは、毒のある現代的なギャグの数々。

現在の若手のトップランナーとして君臨している「白酒」の魅力を説明するのはとても難しい。ただ、その魅力は、高座に一度触れただけで容易に理解できる。

卓越した演技力や、緻密な人物描写で、古典の世界を非常にわかりやすく伝えてくれるのが魅力であるが、油断をすると、隙あれば差し込まれる細かなクスグリ(噺の中に演者が差し込むギャグ)の連打に、やられてしまう。
大げさな演出や力技で爆笑を誘うタイプではないが、細かな可笑しさが積もり積もって爆笑となる「白酒」ワールドは、唯一無二。

五街道雲助の総領弟子として、古典落語の実力は折り紙つき。師匠譲りの地に足の着いた実力派が、まくらから毒をさらりと吐きまくる。
そのスピード感のある芸は、非常に中毒性が高く、一度はまると抜け出しにくい。

今回発売されるDVDシリーズに収録の「松曳き」は、スピード感たっぷりで、抱腹絶倒のまさに「白酒」ワールドの典型と言える出来で、小刻みなジャブの連打に、最後は大きなダメ―ジを受けたかのような感覚に襲われる。

今、最も「生で観ておくべき噺家」の一人といっていい「白酒」は、寄席にもコンスタントに出演しており、
そしてホール落語への出演や独演会の数もずば抜けて多い。現在、古典落語への入り口として最適な噺家は、彼をおいて他にいない。


桃月庵白酒 其の壱
本格 本寸法 ビクター落語会 桃月庵白酒 其の壱 松曳き/山崎屋 ビクターエンタテインメント 2013.9.28 DVD VIBF-5491 2,667円+税